派遣社員に付与される有給休暇の日数や申請先について

「派遣社員でも有給休暇って取れるの？」と疑問をお持ちの人は多いかもしれません。実は、派遣社員でも有給休暇はもらえます。ただし実際にもらえる有給休暇の日数は、勤務日数で変わります。今回は派遣社員に付与される有給休暇の日数や申請先について徹底的にまとめました。ぜひ参考にしてください。

派遣社員に付与される有給休暇の日数

派遣社員はどれくらいの有給休暇がもらえるのでしょうか。派遣社員が取得できる有給休暇の日数をご紹介します。

■勤務開始の半年後から年間10日間もらえる

労働基準法の定めにより、どんな雇用形態であっても一定の基準を満たせば有給休暇はもらえます。週の所定労働日数が5日以上（もしくは30時間以上）ある場合は、10日間の有給休暇を取得できる仕組みです。10日間の有給休暇を取得したら、年に5日の有給休暇を使わなくてはいけません。

■週の労働日数によって有給休暇の日数は変わる

有給休暇は、すべての人が10日間取得できるわけではありません。週にどれくらい勤務したのかで取得できる有給休暇の日数は変わります。1年の所定労働日数が48〜72日だと有給休暇は1日しかもらえません。

■継続勤務年数が6年半以上だと毎年20日取得できる

有給休暇の日数は、継続勤務年数によっても変わります。継続勤務が1年6か月になると有給休暇は11日に増えます。継続勤務が2年6か月になると有給休暇は12日になり、毎年2日ずつ増える仕組みです。最大で20日の有給休暇が取得できますが、継続勤務年数は6年半必要になります。

■企業によっては有給休暇が取れる日を決めておく計画的付与もある

有給休暇が年に10日を超える企業では、有給休暇が取れるスケジュールを企業があらかじめ決めておき、スケジュール内で5日の有給休暇の消化をうながすことがあります。主に夏や冬に夏季休暇や冬季休暇として使えるようになっており、「人目を気にして有給休暇が取れない」という問題を解消する策として有効です。

派遣社員が有給休暇を取得する方法

派遣社員が有給休暇を取るためには、どうしたらいいのでしょうか。有給休暇を取るための条件や仕組みについてまとめました。

■雇用期間が半年以上あること

派遣社員が有給休暇を取得するためには、雇用期間は半年以上が必要です。雇用期間が半年に満たない場合は有給休暇がもらえません。実際に有給休暇がもらえるのは勤務から半年たってからです。有給休暇を使う場合は「私用のため」と伝えるだけでOKです。

■全労働日のうち8割以上出勤すること

有給休暇を取得するには、半年の労働日のうちの8割以上出勤することが条件です。8割の出勤には通常の出勤を含め、業務上の理由による負傷の療養で休業した期間、育児休暇や介護休暇、産休や育休、年次有給休暇なども含まれます。なお出勤率は「出勤日数÷労働日数×100」で計算できるため、出勤率を確認したい場合は計算してみましょう。

■雇用期間が半年未満なら契約更新で有給休暇が取れる場合も

もしも雇用期間が半年に満たない場合は、契約更新で雇用期間が半年以上に伸びると有給休暇が取得できます。契約更新の2か月経過後に有給休暇がもらえる仕組みです。

■有給休暇を使う際は派遣先の許可を得てから派遣会社に報告する

それでは派遣社員が有給休暇を使うときは、誰に伝えたらいいのでしょうか。正解は派遣先で有給休暇のスケジュールの承諾を得てから、派遣会社の担当者に連絡します。派遣社員は派遣会社と雇用契約を交わしているため、派遣会社へ連絡する必要があります。

有給休暇に関する注意点

有給休暇は心や体をリフレッシュするための便利な制度ですが、取得する際には気をつけるべきポイントもあります。有給休暇に関する注意点を4つまとめました。

■派遣勤務先が変わった場合に有給休暇が消滅するケースも

有給休暇は派遣先が変わっても有給休暇はそのまま引き継がれます。しかし次の派遣先での契約が1か月以上の期間が空いてしまった場合や、派遣会社を変更した場合は有給休暇が消えるので注意しましょう。たとえば7月15日に契約終了し、8月15日に契約スタートする場合は有給休暇は持ち越されますが、8月16日以降に契約スタートする場合は有給休暇が消えてしまいます。

■労働義務がない日に有給休暇は使えない

実は有給休暇には使える日と使えない日があります。有給休暇は労働義務のない日に消化することはできません。たとえば平日の月曜日から金曜日まで勤務日で土日は休みだった場合、土日に有給休暇を使うのは不可です。「今月で退職するため、有給をすべて消化したい。平日のみだと消化日数が足りないので土日も合わせて有給を使いたい」というケースでは、土日は労働義務がないため有給休暇を消化できません。

■有給休暇は2年で期限切れになる

有給休暇で気をつけるべきポイントは、「2年たつと期限が切れて消えてしまう」ということです。有給休暇の使用期限は労働基準法の39条で定められているため、期限内に使い切るように心がけましょう。2年以内なら有給休暇を繰り越せます。

■有給休暇の買収は不可

有給休暇は従業員の心身のリフレッシュを目的とした休暇制度ですが、中には有給休暇を取らなくても平気な人もいるかもしれません。だからといって、「有給休暇を取らない代わりに給料を上乗せしてもらおう」といった、有給休暇と金銭を交換する行為は原則として禁止されています。有給休暇はリフレッシュにあてましょう。

有給休暇は雇用形態に関係なく、誰でも取得できるものです。週に5日勤務の派遣社員であれば、年に10日の有給休暇がもらえます。有給休暇は使う義務があるため、10日の有給休暇をもらったら年に5日は消化しなくてはいけません。2年たつと自動的に期限が切れてしまうため注意しましょう。有給休暇を活用して心身のリカバリーに役立ててください。