派遣社員も社会保険に加入できる！社会保険の種類やそれぞれの加入条件とは

派遣社員として働こうと思った際、気になるのは社会保険ではないでしょうか。派遣は社会保険や休暇制度などの福利厚生が充実していないのでは、と不安に感じる人もいるでしょう。しかし派遣社員であっても、条件を満たせば正社員と同様に社会保険に加入できます。今回は派遣社員が加入できる社会保険の種類と、加入要件について紹介します。

社会保険制度とは？

そもそも社会保険とは、病気やケガ、老後や失業などの万が一に備える公的保険制度のことです。社会保険は総合扶助という仕組みで成り立っており、ひとりひとりがお互いに支え合って、全員のリスクに備えています。任意加入の生命保険や医療保険とは異なり、一定の条件を満たす人は必ず加入しなくてはいけません。

医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5種類があります。5つの社会保険についてそれぞれ詳しくみてみましょう。

医療保険とは病気やケガなどで医療機関を受診した際に医療費の一部を負担してもらえる保険制度です。国民保険と健康保険の大きく二つに分けられ、全員どちらかの保険に加入しなくてはいけません。

年金保険とは、現役のうちに将来のリスクに備える保険で、原則65歳から年金形式で受け取れます。国民年金と厚生年金の2つがあり、社会保険では両方の年金保険に加入して、将来もらえる年金額を増加できます。

介護保険は40歳以上に加入が義務づけられている保険。要介護状態になった際には一定の介護サービスを受けられます。雇用保険は一般的に失業保険とも呼ばれるもの。失業時の収入減への備えや、再就職への支援に活用されます。

最後は労災保険です。業務中や通勤中の事故により病気やケガを負ったり、障害が残ったりした際、保険金が支給されます。日本はこれらの社会保険のおかげで、さまざまなリスクに備え、安心・安定した生活を送れています。

派遣社員が社会保険に加入するメリット

社会保険に加入すると、さまざまなメリットがあります。もっとも有名なのは、老後の年金が増えることです。年金は20歳以上の全員が加入する国民年金と、会社員が会社で加入する厚生年金の2種類があります。

厚生年金は2階建てとも表現され、国民年金に上乗せする年金保険です。上乗せした分、将来もらえる年金額も増加。そのため将来の生活を安定させる目的で、厚生年金を希望する人が多くなっています。

また、社会保険も国民健康保険よりもメリットが多く、加入を望む人が少なくありません。傷病手当や出産手当などの手厚い保証内容に加え、保険料を会社が半分負担してくれる点でも魅力を感じられています。

派遣社員の社会保険加入条件

社会保険は正社員の特権ではありません。パート社員や派遣社員であっても、要件さえ満たせば全員加入できます。派遣社員が社会保険に加入するための条件は「正社員の4分の3以上の労働時間」が原則です。1か月の所定労働時間が15日以上、1週間の所定労働時間が30時間以上であれば、社会保険に加入できます。

なおかつ、2か月以上の雇用契約期間も必須条件。2カ月未満の短期雇用契約は、たとえ1か月の労働時間が正社員の4分の3以上であっても加入できません。

■法改正によって拡大された加入要件

なお平成28年の法改正により、1か月15日、1週間30時間の要件を満たしていない場合でも、一定の条件を満たせば保険加入できるようになりました。

1週間の所定労働時間が20時間以上、1年以上の雇用見込み、月の賃金が8万8,000円以上、会社の従業員数が501人以上など、複数の条件をすべて満たす必要があります。また会社の従業員数が500人未満でも、労使における合意が得られている場合は、加入要件を満たしているとみなされます。

派遣社員が社会保険に加入するために必要な手続き

派遣社員でも、要件さえ満たせば社会保険に加入できることがわかりました。ここからは社会保険に加入するために必要な手続きを紹介します。

派遣社員は、派遣元の派遣会社が用意した社会保険に加入します。派遣先の会社で加入するのではありませんので注意しましょう。手続きは派遣会社が行ってくれますので、必要な書類を用意し、派遣会社に提出しましょう。

社会保険の加入に必要な書類は、おもに２つ。雇用保険被保険者証と年金手帳です。以前に働いていた職場で雇用保険に加入していた場合は、雇用保険被保険者証が発行されます。アルバイトやパートで雇用保険がかけられていない場合には、発行されません。もしも雇用保険に加入していたにも関わらず、雇用保険被保険者証がもらえなかった場合は、退職した会社に問い合わせてみましょう。

年金手帳も厚生年金の手続きに必要です。派遣会社によっては、そのほか記入する用紙がある場合もありますので、担当者に確認しましょう。

国民健康保険や国民年金よりもメリットの多い健康保険や厚生年金。正社員でなくても、加入要件さえ満たせば、派遣社員でも社会保険の加入が可能です。社会保険の加入手続きは、派遣元の会社が行ってくれるため、自身で手続きする必要もありません。雇用保険被保険者証を紛失する人が多いため、大切に保管しておきましょう。